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株式会社オフィス総合研究所 代表取締役
アンザイ株式会社 代表取締役
(公財)広島市産業振興センター
中小企業支援センター 登録専門家・窓口専門員
西原 州康(ニシハラ クニヤス)
第1回は「経営理念とは何か」を説明しましたが、第2回は経営理念を考えるために必要な考え方やノウハウを、事例をもとに説明します。第1回で説明した中小企業に必要な経営理念とは、ドラッガーの提唱する「MVV」ミッション、ビジョン、バリューの3つを決めることです。それぞれについて、具体的に説明していきます。
まずはミッション(Mission)ですが、このミッションを考えるには、自社の歴史と自分の歩みをまとめてみることです。私が社長(3代目)をしているアンザイ(株)は、今から57年前に西文堂(西原家)と博進堂(安村家)の2社が合併してできた事務用品販売会社です。合併前のそれぞれの会社は、どちらも昭和15年創業で、創業時からお客様のオフィスの課題を最新の事務用品を使って解決し、生産性を上げることを仕事としてきました。(そろばん→電卓→オフコン→パソコン、ガリ版→青焼き→複写機)

創業から現在まで歴史をまとめた年表
上記のように創業からの会社の年表をまとめることにより、合併前から「会社が何をやり続けたか」という歴史を振り返ることができ、「何のために会社があるのか」というミッションが明確になりました。私が社長になった時、当社のミッションを「快適オフィス空間創造企業」(お客様に最も適した製品、サービス、ソリューションをワンストップで提供し、独自の付加価値を加えることにより、快適オフィス空間を創造します)と決めることができたのです。このミッションには、先代、先々代の想いも込められているので、一晩中でも語ることができます。支援先の中小企業にも、まずは上記の年表を書き込んで「何のために会社があるのか」を考えてもらいます。
次にビジョン(Vision)ですが、基本的な考え方として、ミッションを達成した先に、中長期的に「どのような組織でありたいか」を描きます。このビジョンも上記の年表をまとめることにより、過去の点(判断したこと、成功したこと、失敗したこと)が明確になり、点と点が繋がり線となり、その線の延長線上にある会社の将来ありたい姿が見えてきます。歴史のある会社ほど、先代や先々代に過去の話を聞く、会社にある古い書き物を探す等を行って、歴史をしっかり学ぶ必要があります。自分が創業者の場合は、生まれてからの自分史を整理し、子供のころから「何をやり続けてきたか」(イヤイヤやった事も含む)が点となり、線となり、その延長線上がビジョンになります。
また、中小企業のビジョンは、社長の人生計画に大きく左右されます。「どの時期にどれぐらいの収入が必要なのか」「いつ引退するのか」「後継者を誰にするのか」「引退後に何をしたいのか」等プライベートの人生計画が会社のビジョンに影響するのです。人生計画を作る上で、コヴィ博士の7つの習慣にある「棺桶から弔辞を聞く」を実践してもらい、人生において何が一番大切かを考えてもらい、優先順位を考えて人生計画を作ってもらいます。

人生計画
最後にバリュー(Value)ですが、日本語では行動指針、共通の価値観となり、ミッションとビジョンを実現するために、従業員が日々の業務で「大切にすべき基準」です。バリューについても、会社の歴史を学ぶことによって見えてきます。西文堂と博進堂が合併してアンザイ(株)になった理由は、二人の経営者が「個人商店を企業に変えたい」と思ったからです。それを受けて、「全社員経営」(全社員が会社経営に参画し、社員満足を高めて顧客満足を追求します)というバリューが決まりました。
また、私自身が第1回に書いたバリューを浸透させて成功したリクルートに凄く感銘を受けたので、「チャレンジする人を応援する」(アンザイは明るい未来のために常にチャレンジし、チャレンジする人を応援します)をバリューとして決めました。これらのバリューについても、一晩中でも語ることができますし、朝礼等ことあるごとに事例も含めて話をして浸透させています。
最後にこれらの経営理念を作っても、作って終わりでは意味がありません。ことあるごとに、自社の経営理念を語り、「この案件は経営理念に沿った行動であったか」を社員に考えさせて浸透させることが大変重要です。第3回は、この経営理念の効果について説明します。
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■<執筆者プロフィール> 株式会社オフィス総合研究所 代表取締役 西原 州康(ニシハラ クニヤス) 玉川大学工学部経営工学科卒業。株式会社JIEC入社。国際線予約システム開発。 |