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支援センター職員によるブログ

相続税、贈与税の改正(令和6年1月1日施行)について

2024/01/31

創業支援担当・児玉主査

 おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・児玉です。

 

 事業承継に関係する相続(贈与)税の特例について、以前のブログで非上場株式や事業用資産に係る納税猶予等を紹介しました。

 

 この特例を適用するためには色々な手続や要件が必要ですが、よりシンプルな方法として、贈与税の基礎控除額(年間110万円)を活用する方法があります。贈与税の納付の無い(あるいは少ない)範囲内で、後継者に対し資産を小分けにして長期的に贈与し、将来発生する相続税額を少なくする方法です。

 

 贈与税の課税方法については、暦年課税と相続時精算課税の二通りあります。通常の課税方法は暦年課税ですが、一定の要件を満たす特定の贈与者からの贈与については、届出書を提出し相続時精算課税を選択することができます。

 

 暦年課税は、その年内に贈与を受けた財産の合計額に対して、その年分の贈与税を課税するもので、相続時精算課税は、特定の贈与者からの贈与財産について、その年分の贈与税として課税するのではなく(注1)、将来その贈与者について相続が発生した時に、その贈与財産を相続により取得したものとみなして相続税として課税するものです。

注1:その贈与者からの(相続時精算課税の選択以後の)贈与の累計額が2,500万円を超える場合には、相続税の前払い的な贈与税の納付があります。

  

 それぞれの課税方法の対象となる財産は区分され、相続時精算課税の対象となった贈与財産については、暦年課税に係る贈与財産の合計には含まれません。

 

 既に週刊誌等でも盛んに取り上げられていますが、暦年課税の場合、令和6年1月1日以降の贈与について、相続税に係る生前贈与加算の取り扱いが大きく変わりました。

参照:国税庁HP「令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

  

 生前贈与加算とは、その贈与者から財産を相続した場合(注2)、その相続開始前の一定の期間内にその贈与者から贈与を受けた財産について、相続財産の額に加算する規定です。この度の改正で、令和6年1月1日以後に贈与された財産については、この加算の対象期間が相続開始前3年以内から7年以内に延長されました。

注2:生命保険金等のみなし相続を含む

 

 この加算額は贈与税の基礎控除前の金額(110万円を引く前の金額)で計算され、贈与額が基礎控除額以下(例えば100万円)であってもその金額が加算されます。(注3)なお、既に納付している贈与税の内、その生前贈与加算される財産に対応する部分の贈与税は相続税額から控除されます。

注3:延長された年分について100万円を限度に加算されない金額もあります。上記の国税庁HPでご確認ください。

  

 相続時精算課税については、新たに基礎控除額が設定されました。その年に200万円の贈与があった場合、令和6年1月1日以後の贈与については、将来的に相続財産の価額に加算される額は基礎控除後の90万円(200万円―110万円)で、贈与額が基礎控除額以下の場合には加算はありません。

 

 暦年課税と異なり110万円の控除後の金額が加算されるので、贈与税の基礎控除額の活用に関しては相続時精算課税が有利になりました。また、同じ年に複数の人から贈与を受け、相続時精算課税と暦年課税の両方が適用される場合もありますが、相続時精算課税及び暦年課税に係る基礎控除額は併用可能で、それぞれについて110万円までの控除ができます。

 

 なお、相続開始前7年以内より前の贈与がある場合には、相続財産への加算額が相続時精算課税の方が多くなる場合も考えられ、結果的に暦年課税で贈与税として納めていた方が有利(注4)であったというケースもないわけではありません。

注4:超過累進税率なので、小分けにして贈与税としてその年ごとに納税する際の税率より、他の相続財産と併せて相続税として一度に納税する際の税率の方が高くなる場合も考えられます。

 

 以上、今回の相続税・贈与税の改正について見てきたところですが、贈与による相続税対策については、基礎控除額の活用だけでなく、承継する財産の総額、贈与税と将来発生する相続税の税率、贈与する財産の現在と将来の価額、他の相続人(となる人)との関係などについても併せて考える必要があります。

 また、贈与により引き継いだ土地については、相続財産に加算される場合であっても小規模宅地等の特例は適用できません。

※小規模宅地等の特例についは、また後日取り上げたいと思います。

 

 ここでは細かい場合分けや要件等についての説明は省いており、事業承継に向けた相続税対策をお考えの場合は、専門家にご相談されることをお勧めします。また、円滑な事業承継ためには、後継者と意識をすり合わせながら事業承継計画を立て、実施していくことが望ましいと思います。当センターでは経営や税務の専門家が、皆様の個別の事情に応じてご相談にお答えします。ご利用をお待ちしております。

 

 

小規模事業者のインボイス制度において注意すべき事例(国税庁HPより)

2023/09/27

創業支援担当・児玉主査

 おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・児玉です。

 

 

 10月1日(日)にインボイス制度がスタートします。当センターでもインボイス制度への対応については色々バタバタしてきたところですが、皆様はいかが対応されているでしょうか。
 免税事業者のインボイス制度への対応については、以前このブログで取り上げたところですが、今回は免税事業者がインボイス発行事業者の登録をした場合(この登録により課税事業者になった場合)について、国税庁がHPに「インボイス制度において注意すべき事例」(国税庁HP)を掲載していますのでこれを見てみます。
 なお、以下の例については、インボイス登録によって課税事業者となる免税事業者であることを前提とし(インボイスの登録の有無に関係なく課税事業者となる事業者については取り扱いが異なります)、登録日については令和5年10月1日であるものとして記載しています。
 また、以下で提出期限について記載していますが、その日が土日祝日等に当たる場合もありますので、実際の提出期限については提出先によくご確認ください。

◇登録の取下げ・取消し
  インボイス発行事業者の登録申請をしたけれど、やはり登録を取り止める場合です。これについては登録日前と登録日以後では取り扱いが変わります。以下、登録日を10月1日として話を進めます。

〇9月30日(登録日前)までに取下げる場合
  9月30日(郵送の場合は9月29日(金)必着)までに取下書を提出すると、登録の申請はなかったものとされ、10月1日以降も免税事業者でインボイス発行事業者でないことになります。

〇10月1日(登録日)以後に取消を行う場合
  10月1日以後は、上記のような取下をすることはできません。一旦登録したものを取消すこととなります。この場合、10月1日からその課税期間(注)の末日までは、課税事業者でありインボイス発行事業者です。翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに登録取消の届出書を提出すると、翌課税期間から免税事業者になることができます(インボイス発行事業者ではなくなります)。
(注)課税期間とは税の計算期間であり、原則として個人事業者の場合は1月1日から12月31日、法人の場合は事業年度です。

◇2割特例
  2割特例とはインボイスの登録によって課税事業者となった小規模事業者が適用できる消費税納付額の計算方法(注)で、確定申告の際に通常の計算方法(本則課税又は簡易課税)と2割特例で納付税額を計算して、どちらか少ない額で申告することができるものです。
(注)2割特例とは「課税売上に係る消費税額」×20%で納付税額を計算する方法です。

〇課税事業者選択届出書を提出して10月1日前より課税事業者となっている場合
  課税事業者選択届出書の提出により課税事業者となった場合、インボイスの登録により課税事業者となった小規模事業者には該当せず2割特例を適用することはできません。2割特例を適用するためには、10月1日を含む課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出する必要があります。

〇2割特例を適用した翌課税期間において、小規模事業者に該当しなくなった(基準期間の課税売上が1,000万円を超えた)場合に、簡易課税の適用を受けようとする場合
  2割特例を適用した課税期間(A年度)の翌課税期間(A+1年度)において、小規模事業者に該当しない場合、(A+1年度においては)2割特例を適用することはできません。(A+1年度において)簡易課税の適用を受けようとする場合は、この翌課税期間(A+1年度)中に簡易課税選択届出書を提出すると、この翌課税期間(A+1年度)について簡易課税の適用を受けることができます。

 以上、国税庁HPの注意すべき事例について見てきましたが、これに関連して簡易課税の選択届出書等の提出期限について見てみます。
 課税事業者となる10月1日を含む課税期間から簡易課税の適用を受けようとする場合、その課税期間中に簡易課税選択届出書を提出すると、その課税期間から簡易課税を適用することができます。
 既に簡易課税選択届出書を提出しているが、2割特例があるので本則課税選択の余地を残したい(2割特例が終了する際に、再度簡易課税選択届出書を提出する)場合は、上記の10月1日を含む課税期間中に簡易課税選択の取下書を提出して簡易課税の選択を取り下げることができます。
※2割特例は申告時にそれを適用して税額を計算することができます。つまり、申告時において本則課税(又は簡易課税)と2割特例とで計算し、どちらか低い税額で申告することができます。この場合において、簡易課税選択届出書を提出していない場合は、本則課税か2割特例のいずれかの選択となり、提出している場合は簡易課税か2割特例のいずれかの選択となります。

 以上の事例は、インボイス制度の導入に伴う小規模事業者に対する例外的措置をもとにしたものであり、適用できる事業者(小規模事業者)、適用期間について限定的なものであることについてはご留意ください。
 
 10月1日にインボイス制度がスタートしてからも、色々対応に迷うことが出てくると思いますが、分からないことは専門家に相談されることをお勧めします。当中小企業支援センターでも、税理士等の専門家が皆様の相談をお受けしますのでご活用ください。

 

インボイス制度導入と免税事業者

2022/12/21

創業支援担当・児玉主査

 おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・児玉です。

 

インボイス制度(令和5年10月からスタート)の導入について、最近、新聞や雑誌などで取り上げる機会が多くなってきました。これらの記事の多くに、免税事業者もインボイス制度の導入により影響を受ける旨が書かれていますが、その導入が免税事業者に対しどのように影響を与え、どのような免税事業者が大きな影響を受けるのか考えてみました。
※インボイス制度については、課税事業者及び免税事業者向けに各税務署またはオンラインで説明会が実施されています。(市内の税務署については12月の説明会は終了していますが、1月以降については下記のHPでご確認ください。)

国税庁HP(インボイス制度説明会の案内)
国税庁HP(インボイス制度特設サイト)

〇販売・納品先(以下、取引先とします)の立場から見ると
影響について考えるにあたり、取引先(課税事業者・原則課税の場合)の立場から考えてみると、取引先が納付する消費税額は大まかに言って次の算式で計算します。

 

売上に係る消費税額-仕入に係る消費税額=納税額

 

まず、売上に係る消費税(販売先から"預かった"消費税)を計算し、次に仕入額のうち消費税の部分(仕入先に"預けた"消費税)を計算します。そして、"預かった"消費税から"預けた"消費税を差し引いた金額を納付することになります。 "預けた"消費税額(算式の太字の部分)を差し引くことを「仕入税額控除」と言いますが、インボイス制度導入以後は、一定の事項が記載された適格請求書(インボイス)がない仕入れについては、原則として「仕入税額控除」ができなくなります。(ただし、当面の間は80%を控除できる経過措置があります。) この適格請求書が発行できるのは課税事業者(登録が必要)のみで、免税事業者からの仕入については「仕入税額控除」ができず、取引先から見ると価格以外の要素で差がない場合には、同じ価格では免税事業者から仕入れようとは思わなくなります。

〇免税事業者に影響がない場合、ある場合
インボイス制度の導入後は、取引先にとって免税事業者からの仕入れについては「仕入税額控除」ができないため(経過措置はありますが)、免税事業者から見ると課税事業者(原則課税)に対する売上にマイナスの影響がでることが予想されます。 ただし、取引先が仕入税額控除をしない場合、例えば課税事業者でないとき(消費者、免税事業者など)や課税事業者であっても簡易課税(課税売上高のみで税額を計算する方法)を選択しているときなど(※)は、上記のような影響はあまりないと考えられます。しかし、取引先がこれ以外の場合には「仕入税額控除」ができないため、免税事業者はその取引先に対する売上について影響を受ける可能性があります。

※他に取引先の非課税売上(居住用賃貸マンションの家賃等)に対応する仕入である場合などがあります。


〇対応についての検討
インボイス制度への対応は個々の事情により異なりますが、売上全体のうち課税事業者に対するものが大きい場合、対応について検討してみる必要があります。 取引先が自社の商品(製品)やサービスについて、他の業者では代替できない場合、顧客が価格以外の部分で価値を認めている場合には、免税事業者のままでも取引が継続できるかもしれません。取引先から値引き交渉があった場合には、免税事業者からの仕入れでも、(当面の間)仕入税額の80%が控除できることを知っていれば交渉のネタに使えます。免税事業者でも適格請求書発行事業者の登録をすることができますが、その場合は課税事業者となり、消費税の申告・納付の義務が生じることになります。 なお、インボイス制度への対応のため、小規模事業者に対して激変緩和措置が検討されているとの報道もあり(12月16日に税制改正大綱が公表されその概要が示されました)、対応を検討されるのであればその内容についても知っておく必要があります。 インボイス制度導入についての免税事業者の対応は、個々の事情により変わってきます。

当センターでは税務やその他の分野の専門家が、皆様の個別の事情に応じてご相談にお答えします。ご利用をお待ちしています。
当センターHP(窓口相談のご案内)

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