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2011/02/09
おはようございます。がんばる中小企業を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」副所長の佐伯です。
さて、今回は、前回の予告どおり、私が最も感心した場面についてお話します。
22年間の戦いは、直接戦闘に加わる者はもちろんのこと、陰で貧困と闘いながらも戦闘部隊を支えてきた蝦夷の人達を疲弊させていました。
アテルイ達は、こうした状況が今後も続き、世代が変わっていく中、何故の戦であるかの意味は薄れ、いずれは朝廷に屈することになるであろうことを見越していました。
しかし、その場合、自分たちの子孫は朝廷から極めて屈辱的な扱いを受けることになることが容易に想定できたのです。
そこで、現在、苦境に立たされている朝廷軍に対し、巧妙な心理作戦を用いて多く部族を救う策を立てたのです。
それは、苦境に陥っている朝廷軍から各部族にとって有利な懐柔策を引き出し、自らはその策にはめられた形で蝦夷の中で孤立していくという状況をつくり、最後の戦でも犠牲を最小限に抑え、自らは囚われの身となり、処刑されることで朝廷の不安を取り除く、ということでした。蝦夷を有利な立場で存続させる究極の戦略であったのです。
みなさん、いかがでしょうか。アテルイ達の一見、単なる捨て身の戦法のように思われるこうした行動は、例えて言えば企業体の存続のために不採算部門を切り捨てるといった行為に似ていませんか。しかし、こうした行為には将来を見据えた明確な目標とそれを達成するためのち密な戦略がなければ所期の成果を期待することはできません。
視点を少し変えるだけで、こうした歴史小説からも学ぶべきことは多くあるように思います。