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2025/02/05
おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の経営革新担当・久米です。
約一年前に開業したエディオンピースウイングは、街なかスタジアムとして観客動員数の増加はもとより、周辺地域の飲食店の消費額増加など、大きな経済効果を与える施設となりました。このように大型施設の建設やイベントが開催される時などには、よく経済効果〇〇億円などと公表されますが、この金額はどのようにして算出されているかについて話をしていきたいと思います。
経済波及分析を行う基礎資料として、10の府省庁が共同作業により作成した産業連関表(全国表)というものがあります。これはある一定期間(通常1年間)において、財やサービスが各産業部門間でどのように生産され、販売されたかについてマトリックスの形で一覧表にとりまとめたもので、財やサービスの「購入⇒生産⇒販売」という連鎖的なつながりを表したものになります。
例えば、パンの需要が生じると、パンの生産を行うために必要な小麦粉等が購入され、更に小麦を生産するために農家が農薬を購入するなど、他の産業にも影響が及んでいきます。また、生産活動が行われた結果として生じる付加価値の一部は雇用者の所得として労働者に分配され、それが消費に回ることで新たな需要を発生させるというものです。
なお、産業連関表は、都道府県や政令市などでも作成されており、広島市においても統計情報として広島市のホームページから統計データを入手できるようになっていますので、参考にしてみてください。
URL https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/toukei/40114.html
産業連関表を理解するために、その基となる簡単な取引基本表(産業相互間や産業と最終需要[家計など]との間で取引された財やサービスの金額)を例に説明します。 ※以下の取引基本表参照
A産業をタテの列でみると、A産業から30円、B産業から60円購入し、210円の付加価値が加わることで300円の生産が行われたことを示しています。次にA産業をヨコの行でみると、A産業に30円、B産業に150円販売され、残る120円が家計などに販売されたことを示しています。
つまり、タテの列は、ある部門の財やサービスの生産に用いられた原材料や燃料、労働力などの支払の内訳を示し、ヨコの行は、生産された財やサービスの販売先の内訳を示し、それぞれタテとヨコの生産額の合計は一致するものとなります。
経済波及効果を計算するには、この表を基に「投入係数表」、「逆行列係数表」を算出していく必要があります。
今回は、経済効果の金額を算出していく基礎資料として、産業連関表というものがあるということを知ってもらい、次回のブログで、各係数を用いた算出方法について説明したいと思います。
出典:総務省ホームページ