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支援センター職員によるブログ

Webサイトの制作委託には○○○がいっぱい

2025/09/24

姫野コーディネータ

 おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・姫野です。

 近年、Webサイト(ホームページ)を持つ事業者が増えています。事業内容や所在地などをインターネット上で確認できることから、Webサイトは事業活動において欠かせない広報媒体と言えるでしょう。
 
 SNSで代用されるケースもありますが、Webサイトは「公式サイト」としての信頼性が高く、SNSと連携することで集客効果をさらに高めることが可能です。

 さて、皆様はWebサイトの制作や運用をどのように行っていますか。おそらく、多くの方が制作会社など外部の事業者に委託されているのではないでしょうか。

 近年は定型化(テンプレート)や自動化(自動でインストール)が進み、ある程度の知識があれば自作も可能になってきましたが、それでも専門的な知識やスキルおよびセンスが必要な場面は多く、依然としてハードルは高いと言えます。

 Webサイトを公開するには、まずレンタルサーバー(以下「サーバー」)を契約し、ドメイン(インターネット上の住所のようなもの)を取得します。そのうえで、表示する文言や画像などのコンテンツを制作し、Webページとして構築。これをサーバーにアップロードし、必要な設定を行うことで、初めてブラウザ上で閲覧できるようになります。

 しかし、Webサイト制作を外部に委託する際には、契約・運用・技術・法務など、さまざまな面でリスクが潜んでいることは意外と知られていません。特に注意すべきは、契約や権利関係にまつわるリスクです。

 さあ、Webサイトを作ろう!と意気込んで、委託業者とはサイトの内容と費用の話しばかりをして肝心な契約内容がおざなりになった結果として、たとえば、以下のようなトラブル事例があります。

  - 著作権が制作会社に帰属しており、改変や再利用ができず、他のサーバーへ移転できない
  - ドメインやサーバーが制作会社名義で契約されており、移管を拒否されたり高額な費用を請求された
  - 契約書が存在せず、納期・費用・修正範囲などで認識の違いが生じた
  - 著作権侵害の可能性がある素材を使用しており、改変や再利用ができない
  - ライセンス違反の素材(画像・フォントなど)を使用していて、第三者から訴えられた
  - 品質やセキュリティの問題が放置され、Webサイトが乗っ取られたり情報漏えいが発生した

 このような事態を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか。
 まず、制作会社とは必ず契約を締結してください。口約束での依頼は避けましょう。契約前には、特に以下の点を確認することが重要です。

■サーバー・ドメインの帰属に関する注意点
  - サーバー契約者の名義が自社か制作会社かを確認する
  - サーバーの管理権限(FTP、CMS、メール設定など)が誰にあるかを明確にする
  - ドメインの契約者名義(Whois情報)を確認し、自社名義であるかを確認する
  - サーバー費用の支払い主体(自社か委託先か)を把握する
  - サーバー移管の可否と手続き方法を事前に確認する
  - 障害対応や保守体制の有無と範囲を確認する
  - ドメインの管理権限(DNS設定、更新など)が誰にあるかを明確にする
  - ドメインの更新費用の支払い主体を確認する
  - ドメイン移管の可否と手続き方法を確認する
  - ドメイン失効時のリスクと対応策を共有しておく
  - 契約書や覚書に、サーバー・ドメインの所有権が自社にあることを明記する
  - 委託終了後も自社で継続利用できることを契約上保証する
  - 管理情報(ID・パスワード)の引き渡し条件を明確にする
  - トラブル時の対応責任と連絡体制を事前に合意しておく

■著作権・素材の取り扱い
  - 使用する画像・イラスト・動画・音源などの権利関係を事前に確認する
  - 制作物(デザイン、文章、プログラムなど)の著作権が誰に帰属するかを契約書で明記する
  - フォントや写真などの素材が商用利用可能か、ライセンス条件を確認する
  - 外部提供素材(ストックフォト、テンプレートなど)の使用範囲や再利用可否を把握する
  - 制作会社が独自に用意した素材の出所とライセンスを確認する
  - 著作権侵害が発生した場合の責任の所在を明確にしておく
  - 納品後に自社で使用・改変・再利用する際の制限があるか確認する
  - クレジット表記や著作権表示が必要な素材が含まれているかを確認する

 盛りだくさんの内容ですが、これらはほんの一部です。契約書にこれらの事項がきちんと明記されているかどうかを必ず確認したうえで、契約してください。

 本来、サーバーやドメインは依頼者側(自社)に権利があるべきものですが、契約内容によっては制作会社側に権利があると主張されるケースもあります。

 場合によっては、サーバー上のコンテンツやプログラムを修正する必要が生じることもありますが、契約内容が不明確なまま手を加えると、「勝手に改変した」としてクレームや費用請求につながる可能性があり、非常に危険です。

 状況によっては、正直なところ、一から作り直した方が早くて確実な場合もあります。

 「安かったから」「親切そうだったから」「知人の紹介だったから」・・・その結果、費用も信頼も失ってしまうことのないよう、慎重に進めましょう。

 万が一トラブルに巻き込まれた場合は、当センターの窓口相談で弁護士相談などをご活用ください。

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