お電話でお問い合わせ
082-278-8032
メールでお問い合わせ
2023/03/01
おはようございます。 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・向井です。
年明けに末娘が里帰り出産し、4人目の孫が誕生しました。子ども3人を含めると7人の赤ちゃんの沐浴に関わったことになり、さしずめ沐浴の風呂フェッショナルといったところでしょうか。沐浴していているときの赤ちゃんの共通のしぐさは、湯につけた瞬間は少しびっくりするのですが、そのうちおちょぼ口をして気持ちよさそうな表情をします。最近、これを見る度に幸せを感じています。ただ、赤ちゃんの心地よい状態がどこまで続き、どこから長湯で不快に感じてくるのか、気になっていました。今回、赤ちゃんの程よい沐浴時間について考えてみることにしました。
このような解を導く方法として、相似則があります。1)すなわち、母親の程よい入浴時間が分かれば、それを基に同じプロポーションで大きさの異なる赤ちゃんが、同じ湯温のベビーバスに浸かり、同じ物理法則に従って体内に熱が流入し、それが蓄熱され、同じような温度分布になった時点を程よい沐浴時間と考えることができます。その相似則の考えを以下に示します。
表面から入る熱量をQλ、その熱量が体内に溜まる蓄熱量をQcとすれば次式となります。
入熱(皮膚内側近傍の熱伝導):Qλ=λ・θ/L・L2・t ・・(1)
蓄熱(体全体の蓄熱量):Qc=ρ・c・L3・θ ・・・(2)
λ:熱伝導率、θ:温度差・温度上昇、L:代表長さ、θ/L:温度勾配、t:時間、
ρ:密度、c:比熱、L2:面積、L3:体積
(それぞれの記号で添字なしは母親、添字 ' は赤ちゃんとします。
また、記号の後の数字はべき数とします。)
この(1)と(2)の熱の比Qc/Qλが母親と赤ちゃんで等しく、(3)式となれば、両者は熱的に相似となります。
これを詳細に示せば(4)式となります。
Qc/Qλ=Q'c/Q'λ ・・・(3)
ρ・c・L2/(λ・t)=ρ'・c'・L'2/(λ'・t') ・・・(4)
ここで、母親と赤ちゃんの体の物性値は全て等しい(c=c'、ρ=ρ'、λ=λ')とすれば簡単な(5)式となります。
t/t'=(L/L')2 ・・・(5)
さらに、母親と赤ちゃんは幾何学的に相似としているので、代表長さとLと体重Mの関係は、L/L'=(M/M')1/3となり、体重比に対する時間の比は(6)式となります。
t/t'=(L/L')2=(M/M')2/3 ・・・(6)
この(6)式から、赤ちゃんの沐浴時間に対するお母さんの入浴時間比は、赤ちゃんの体重に対するお母さんの体重比の2/3乗に比例するという解が得られました。例えば、母親の体重が55kgで湯の温度が両者等しく40℃、母親が湯船に浸かり、程よく温まるまでの入浴時間を15分とすれば、体重3kgの赤ちゃんの沐浴時間は2.16分(2分10秒)となり、意外と短い値となりました。(図1参照)
この値が妥当であるか、検証する必要があります。赤ちゃんの沐浴時間を一般的な子育ての書物、雑誌、インターネット、文献等で調査してみると、3分~4分、5分~10分、10分~15分という記載があり、最短と最長で5倍もの開きがあります。ちなみに、我が家では、バスに浸かり、一通り体を洗ってから直ぐに上るようにし、沐浴時間は約4分となっています。結局、赤ちゃんから程よい沐浴時間を直接聞き出せた母親がいなく、分かっているようで意外と分かっていないのでしょうね。
そこで、検証するための一つ妙案があります。少し会話ができるようになり、体重が12kg~15kg程度になる2~4歳頃を見計らって一緒にお風呂に入り、入浴時間の確な情報を得たいと思っています。このように帰納的に検証できれば、世の中の沐浴時間のスタンダードとして受け容れられ、赤ちゃんに感謝されるかもしれません。ただ、どんどん成長していけば、赤ちゃん時代の心地よかった沐浴のことはすっかり頭から消え去り、記憶に残らないのでしょうね。
1)江守一郎、(第二版)模型実験の実験の理論と応用,(1985-7),技報堂