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支援センター職員によるブログ

令和7年度見本市等出展助成金(第1回)のご案内です!

2025/03/12

経営革新担当 岸野主事 おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の経営革新担当・岸野です。

 現在、「令和7年度見本市等出展助成金(第1回)」の募集を行っていますが、令和6年度から申請手続等に係る変更がありましたので、改めてご紹介します。

変更点

1.申請書類は、持参のみからメール又は郵送、持参もOKです。

2.審査会に出席して商品等のプレゼンが必要でしたが、審査会への出席は不要です。

3.希望者には、受付期間中に、コーディネータによる申請書作成支援が利用できます。

 このように、申請手続や審査方法について、申請者の方々の負担軽減につながる見直しを行っています。

 対象となる見本市等は、令和7年4月下旬から令和8年3月31日までの間に開催される見本市・展示会等(オンライン見本市を含む。)に出展する事業が対象となります。

 令和7年度は、2回の募集を予定していますので、市場開拓にぜひご活用ください。

◇お申し込みなど詳細はこちら

~AIエージェントの進化が変える中小企業支援の未来~

2025/03/05

西村コーディネータ

 おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・西村です。

AIエージェントの進化が変える中小企業支援の未来

私はこの3年間、中小企業支援に携わり、数多くの経営者と向き合ってきました。現場で強く感じたのは、国内市場の飽和、労働力不足、デジタル化の遅れ、資金調達の難しさといった課題が、ますます深刻化していることです。特に2023年以降、円安や物価高の影響が中小企業の経営を圧迫し、経営環境の厳しさが増しています。

一方で、この3年間でAI技術の進化が中小企業経営に大きな変革をもたらす可能性を強く実感しました。特に2024年以降、AIエージェントの発展が加速しており、AIは単なる情報提供ツールを超え、実際に業務を遂行する自律型エージェントへと進化しています。

AIエージェントが中小企業にもたらす変革

① 事務作業・業務の自動化

中小企業では、人手不足の影響で経営者自身が事務作業や顧客対応を担うケースが多く見られます。しかし、AIエージェントを活用することで、以下のような業務が自動化可能になっています。

・経理・会計処理(AIによる請求書処理や経費精算の自動化)

・営業支援(見込み顧客のリスト作成、メールの自動送信)

・カスタマーサポート(AIチャットボットによる24時間対応)

これにより、経営者や従業員は本業に集中でき、業務効率の向上とコスト削減が可能になります。

② 経営判断のサポート

AIは、単なる自動化ツールではなく、経営者の「参謀」としての役割も果たせるようになっています。

・市場・競合分析(AIが最新の市場動向を収集し、戦略を提案)

・価格設定の最適化(AIが需要予測をもとに最適な価格を算出)

・財務リスク管理(キャッシュフロー分析や融資判断のサポート)

特に生成AIを活用した「AIエージェント」は、経営者と対話しながら意思決定を支援するツールへと進化しています。これにより、データ分析に基づいた精度の高い経営判断が可能になります。

③ 人材不足を補うバーチャルアシスタント

中小企業では、限られた人材リソースの中で多くの業務をこなさなければなりません。AIエージェントを活用すれば、業務の一部をバーチャルアシスタントが担うことが可能です。

・人事・採用業務の自動化(候補者スクリーニング、面接日程の調整)

・マーケティング支援(SNS投稿や広告運用の最適化)

・翻訳・グローバル対応(多言語対応により海外市場の開拓を支援)

例えば、近年登場した長期記憶を持つAIは、企業ごとに最適化されたサポートを提供できるため、人手不足を補いながら企業の成長を支援する役割を果たします。

④ AI導入コストの大幅な低下

かつて、AI導入には高額な費用がかかり、大企業しか活用できないものでした。しかし現在では、オープンソースAIやクラウド型のAIツールの普及により、中小企業でも低コストでAIを活用できる時代が到来しています。

・ノーコード・ローコードの普及(専門知識がなくてもAI導入が可能に)

・クラウドAIの活用(高額な設備投資なしで最新のAIを利用可能)

これにより、中小企業でも大企業並みのデジタル活用が可能になり、競争力を高めるチャンスが広がっています。

中小企業支援の形も変わる

こうしたAIエージェントの普及により、中小企業支援のあり方も大きく変わっていくと考えられます。

・従来の経営相談は、「デジタル化」や「IT導入支援」といった内容が中心でした。しかし、今後は「AI活用を前提とした支援」へとシフトしていくでしょう。

・経営相談の在り方が変化(AIを活用したビジネス戦略支援が主流に)

・中小企業の競争力向上(AIを活かして限られたリソースを最大限活用)

・支援機関の役割の変化(AI活用の橋渡しが重要なミッションに)

中小企業にとって、AIは単なる「コスト削減の手段」ではなく、企業の持ち味を最大限に引き出し、競争力を向上させるための強力なツールとなるはずです。

AIの進化は加速し続けています。今後、AIエージェントは「企業のデジタル社員」として経営を支える存在になり、業務の効率化だけでなく、経営判断や事業戦略にも深く関与するようになるでしょう。

この変革の波に乗るかどうかで、企業の成長スピードが大きく変わります。私自身も、中小企業がAIを活用しやすい環境を整え、持続的な成長を支援することを使命とし、これからの支援活動に取り組んでいきたいと思います。

変化

2025/02/26

創業支援担当 竹内主事

おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・竹内です。

2025年も、はや2か月が過ぎようとしています。早いですねぇΣ( ̄□ ̄|||)

今年は「巳年」、巳年は新しい挑戦や変化、再生、成長を象徴する年と言われていています。
そんな年に広島市の中心部も大きな変化の時を迎えています。

2025年3月24日には、広島駅ビル「minamoa(ミナモア)」が、そして3月29日には広島城三の丸第1期エリアの商業施設がグランドオープン。さらに新駅ビルへの路面電車乗り入れも2025年夏頃に予定されています。

これらの変化は、単なる建物の建替えにとどまりません。 新しい商業施設の開業により、広島市中心部への来訪者数が増加したり、公共交通機関の新ルートにより新しい人の流れができたりと、新たなビジネスチャンスが生まれるのではないでしょうか。

当センターでは、経営の専門家に相談できる窓口を設置しています。
この変化をチャンスに捉え新たな取組を始める際にお役立てください。
相談窓口の詳細は以下「窓口相談」のページでご確認ください。

窓口相談:https://www.assist.ipc.city.hiroshima.jp/keiei/keiei02.html

物価高騰への対応

2025/02/19

濱本主幹.jpg おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の経営革新担当の濱本です。

 総務省が毎月公開している「消費者物価指数」を見ますと、2020年を100とした2024年12月の総合物価指数は110.7となっています。
 一般的に物価の高騰が続くと、消費者の価値観が変わり、その購買行動は「節約志向」が強まると言われています。価格を重視する、安価な商品やPB商品を選ぶ、コスパを重視する、そして消費者自身にとって満足度の高い商品を選ぶなどが特徴です。
 企業を経営されている皆様の中には、最近商品の動きが鈍い、広告の反応が鈍くなっている、高額商品が動かない、ローンを組む方が少なくなっているなどを感じておられる方も少なくないと思います。こうした中で経営者の皆様方は、どのような行動をとればいいのでしょうか。前述の「物価高騰時の特徴」の中で、「消費者にとって満足度の高い商品を選ぶ。」ことへの対応、具体的には、サービスや提供商品の見直し、PR内容・方法の見直し等を積極的に行い、価値観が変わった消費者に届く販売方法を検証しながら実施していくことが必要だと思います。
 令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査(厚生労働省)では、令和6年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業の割合が91.2%に達するなど、明るい光も見え始めています。今後、どのように変わっていくのか予測は難しいですが、今までと同じやり方は通用しにくくなっています。様々なことを変えていくことが大切です。

DX化を進めるには・・・

2025/02/12

創業支援担当・北浦主事  おはようございます。 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・北浦です。

 DX化(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をよく耳にする様になりました。流行りのCopilotでDX化に向けた具体的な取り組み等を調べ、4つの表にしてみましたので参考にしてください。

 経営者が理解しておくべき肝心な部分は、「ITインフラストラクチャライブラリ」の「サービス戦略」として、IT・ICTを活用したサービスを行うかどうかの意思決定です。
 経営者は、自社の「サービス戦略」としてIT・ICTは必要かどうか。必要な場合、どの様な効果があるか。どの様に進めるか。人材を雇用するのか。IT人材として教育して育てていくのか。外部委託するのか。等、多くの経営判断を強いられます。中小企業者や個人事業主の方にとって、IT・ICTのソフトやシステム導入は決して安くないので、事業の内容に合った開発費が安価なクラウドサービスを幾つか組み合わせる等、小さな部分に分けて段階的に開発や改善を行う「アジャイル手法」がお勧めです。納得できる範囲で保守契約を交わしておく必要もあります。

 IT・ICTの知識やスキル全般を身に着けている人材は極稀の為、DX化に限らず前段となるIT・ICT化はチームで行うのが必須条件です。少し詳しいからと言ってDX化を一人に押し付けるようなことはあってはいけません。ある程度スキル・知識を身に着けると、より条件の良い会社に引き抜かれてしまうかもしれませんし、ある日突然出社しなくなるかもしれませんので、人材のスキル・知識の負荷分散、技術の承継問題も加味しておくことが必要となります。

 IT・ICT化は、今の仕事を川の流れの様に、順序よく項目毎に書き出して「見える化」することから始まります。データを、「どんな仕組み」を使って、「どこの項目」でインプットし、アウトプットを「どのような形」で行ったら効率よいかを吟味し、シミュレーションを重ねて最適化していくのを、情報の「可視化」と言います。可視化がうまくできれば、予め計算式を組み込んでおくなど仕組みを組み込んで、ボタンをポチっと押したら欲しい結果がパッと出てくるようにすることも可能です。そのため、不完全なデータや異常値を限りなく無くしておくことが必須となります。
 データサイエンスのデータ探索以降が可能となれば、出力されたデータを基に「AI」を活用するなど、更なる高みのある経営戦略に打って出ることができると考えます。

 ここまで、ざっくり簡単に書いてますが、IT・ICT化等は実現までに時間がかかり、根気がいる作業も発生することから、一度、当センターのITコーディネータやIT系の登録専門家に相談されてみてはいかがでしょうか。

項番 主な内容 概要
1.DX化への取り組み
業務プロセスの自動化 例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を利用して繰り返しの業務を自動化することで、効率化を図ることができます。
データ活用の高度化 データを収集・分析して意思決定を支援する仕組みを構築し、ビジネスの競争力を向上させます。
顧客体験の向上 デジタルチャネルを活用して顧客との接点を増やし、パーソナライズされたサービスを提供することで、顧客満足度を高めます。
新しいビジネスモデルの創出 デジタル技術を活用して新しい製品やサービスを開発し、市場に革新をもたらします。
2.IT・ICT知識全般
ハードウェア ・コンピュータ、サーバ、ネットワーク機器などの物理的な構成要素
CPU、メモリ、ストレージなどの内部部品の理解が必要
ソフトウェア ・オペレーティングシステム(例:Windows、Linux、macOS)
・アプリケーションソフトウェア(例:Officeスイート、ブラウザ、専用アプリ)
ネットワーク ・LAN、WAN、インターネットの基本構造
・ルーター、スイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器
・TCP/IP、DNS、HTTP/HTTPSなどのプロトコル
データベース ・SQL(例:MySQL、PostgreSQL、Oracle)
・NoSQL(例:MongoDB、Cassandra)
・Microsoft Access
・データベース設計と運用管理。
セキュリティ

・サイバーセキュリティの基本(例:暗号化、認証、ファイアウォール)
・セキュリティポリシーとベストプラクティス

クラウドコンピューティング

・パブリッククラウド(例:AWS、Azure、Google Cloud)
・クラウドサービスモデル(例:IaaS、PaaS、SaaS)

プログラミングとソフトウェア開発 ・プログラミング言語(例:Python、Java、C++)
・ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とアジャイル手法
IT運用と管理 ITIL(ITインフラストラクチャライブラリ)とベストプラクティス
・サーバ管理、ネットワーク管理、システム管理
3.データサイエンス
データ収集 センサーデータ、ウェブスクレイピング、データベースなどからデータを収集します
データ前処理 データのクリーニングや整形を行います。不完全なデータや異常値の処理が含まれます
データ探索 データのパターンや傾向を可視化し、基本的な統計分析を行います。例えば、ヒストグラムや散布図を使ってデータを視覚化します
モデリング 機械学習アルゴリズムを使用して予測モデルを構築します。例えば、回帰分析や分類アルゴリズム(例:決定木、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク)があります
評価 モデルの精度や性能を評価し、必要に応じてモデルを改善します。交差検証やテストデータセットを使用してモデルの評価を行います
展開 実運用環境にモデルを展開し、実際のデータを使って予測や分類を行います
4.ITインフラストラクチャライブラリ
サービス戦略 ITを活用したサービス戦略を策定し、自社のビジネスニーズに合わせてサービスを計画します。
サービスデザイン 新しいサービスの設計や既存サービスの改善を行います。これには、サービスの可用性、キャパシティ、継続性などの設計が含まれます。
サービス移行 新しいサービスや変更を実際の運用環境に移行するプロセスです。リリース管理や変更管理が含まれます。
サービス運用 日常のITサービスの運用と管理を行います。インシデント管理や問題管理、アクセス管理などが含まれます。
継続的サービス改善 サービスの品質と効率を継続的に向上させるプロセスです。定期的な評価と改善が行われます。

経済効果の算出について(その1)

2025/02/05

経営革新担当 久米主任

 おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の経営革新担当・久米です。

 

 約一年前に開業したエディオンピースウイングは、街なかスタジアムとして観客動員数の増加はもとより、周辺地域の飲食店の消費額増加など、大きな経済効果を与える施設となりました。このように大型施設の建設やイベントが開催される時などには、よく経済効果〇〇億円などと公表されますが、この金額はどのようにして算出されているかについて話をしていきたいと思います。


 経済波及分析を行う基礎資料として、10の府省庁が共同作業により作成した産業連関表(全国表)というものがあります。これはある一定期間(通常1年間)において、財やサービスが各産業部門間でどのように生産され、販売されたかについてマトリックスの形で一覧表にとりまとめたもので、財やサービスの「購入⇒生産⇒販売」という連鎖的なつながりを表したものになります。
 例えば、パンの需要が生じると、パンの生産を行うために必要な小麦粉等が購入され、更に小麦を生産するために農家が農薬を購入するなど、他の産業にも影響が及んでいきます。また、生産活動が行われた結果として生じる付加価値の一部は雇用者の所得として労働者に分配され、それが消費に回ることで新たな需要を発生させるというものです。
 なお、産業連関表は、都道府県や政令市などでも作成されており、広島市においても統計情報として広島市のホームページから統計データを入手できるようになっていますので、参考にしてみてください。

 URL   https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/toukei/40114.html


 産業連関表を理解するために、その基となる簡単な取引基本表(産業相互間や産業と最終需要[家計など]との間で取引された財やサービスの金額)を例に説明します。 ※以下の取引基本表参照

 A産業をタテの列でみると、A産業から30円、B産業から60円購入し、210円の付加価値が加わることで300円の生産が行われたことを示しています。次にA産業をヨコの行でみると、A産業に30円、B産業に150円販売され、残る120円が家計などに販売されたことを示しています。

 つまり、タテの列は、ある部門の財やサービスの生産に用いられた原材料や燃料、労働力などの支払の内訳を示し、ヨコの行は、生産された財やサービスの販売先の内訳を示し、それぞれタテとヨコの生産額の合計は一致するものとなります。 

 

20250127blog.png

  

 経済波及効果を計算するには、この表を基に「投入係数表」、「逆行列係数表」を算出していく必要があります。

 今回は、経済効果の金額を算出していく基礎資料として、産業連関表というものがあるということを知ってもらい、次回のブログで、各係数を用いた算出方法について説明したいと思います。

 

 

出典:総務省ホームページ

(https://www.soumu.go.jp/main_content/000666724.pdf)

第7次エネルギー基本計画(案)と需要側での省エネ

2025/01/29

向井コーディネータ(技術) おはようございます。 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・向井です。

 昨年末に第7次エネルギー基本計画の原案が公表されました。本計画は、最近のAI技術の進展に伴うデータセンターや半導体工場の増加を考慮し、2040年度の発電電力量は、2023年度比で最大20%増加することが見込まれています。また、2050年カーボンニュートラルの実現を目指した内容となっています。

 2040年度の電源構成をみると、再生可能エネルギーは40~50%、火力は30~40%、原子力は約20%を占める方針が示されています。火力発電は最小30%まで削減される予定で(現状約70%)、その分を再エネと原子力で補う計画です。再生可能エネルギーは主要な電源として位置づけられ、特に太陽光発電は現状の3.6倍、洋上風力発電は9.1倍に増加させる必要があるとされています。 (表1 2040年度におけるエネルギー需給の見通し(資源エネルギー庁、令和6年12月))

 再生可能エネルギーの中でも太陽光や風力の最大の問題は、周知の通りエネルギー密度が低く、不確実性が高いこところです。例えば、100万kW(火力や原子力発電の約1基分)を発電するための必要面積は、火力0.5km²、原子力0.6km²、太陽光58km²、洋上風力214km²とされ、この問題は自然エネルギーを利用する上では避けられません。また、ペロブスカイト太陽電池や洋上風力発電の実用化が近いとされていますが、効率や耐久性といった技術課題やコスト面での課題も指摘されています。

 このような国のエネルギー供給側の次期エネルギー基本計画を汲み取ると、我々需要側の徹底した省エネが前提になっています。最近、省エネ活動に関わるものとして、少し気になるところがあります。それは、社内外を問わず、もう少し組織内や近隣会社とのエネルギー情報を可能な限り共有して連携しながら、もう一歩踏み込めないかということです。そうすれば、エネルギーの多面的マッチングの機会も増えると思っています。

 具体例を挙げます。ある工場で、電気式連続炉の省エネに取り組んでいました。ヒーター電源端子まで断熱し、端子が焦げないギリギリのところまで断熱を強化したそうですが、大して省エネ改善にはつながらなかったようです。一方、別部署の品質保証と生産技術からの提案で、品質に関わる炉内温度ムラ低減のために、温度の低い領域にヒーターを追設し省エネとは逆のアクションを実施し、消費電力も若干増えたそうです。ところが、それ以上に品質や歩留まりが向上、廃棄物処理の削減効果も加わり、トータルのエネルギー原単位が予想以上に改善でき、品質向上、生産性向上及び省エネを達成したという事例がありました。品質向上、生産性向上を前面に掲げた省エネ活動が望ましい姿だろうと思っています。

 また、ある工場では中間生成物を乾燥するプロセスがあり、ガス焚の温風発生炉が稼働していました。その周りに目をやると、壁を隔てた隣接する別会社のバイオマスボイラーが連続運転しており、あちこち湯気が上がり、使える排熱がありそうな風景でした。勝手な想像ですが、そんなに高くない排熱温度であって自社工場での利用は難しくても、定常的に発生する熱源であれば、近隣の他社工場で排熱をカスケード利用(エネルギーの質に応じて順々に有効活用する)できる可能性があると感じました。

 これらの考えが定着できれば、向こう三軒両隣の考え(近助)を活かすことで、社内や地域内でのトータルのエネルギー削減やCO2排出量の抑制につながる可能性があると思います。このようなエネルギー問題でお悩みの企業様がおられましたら、ぜひご一報ください。

 エネルギー需給見通し(エネ庁).jpg


「いい店ひろしまインスタグラム」キャンペーン

2025/01/22

荒川副所長.jpg おはようございます。 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」副所長の荒川です。

 昨年12月にこのブログで予告した「いい店ひろしまインスタグラム」キャンペーンの詳細が決まりましたのでお知らせします。

 これまでの受賞店舗の利用促進と売上増加を図るため、「いい店ひろしまインスタグラム」キャンペーンを2月3日(月)から28日(金)まで実施します。

 このキャンペーンは、各店舗店長の「イチオシ」商品の紹介記事を当インスタグラムに投稿し、それらの記事を見たフォロワーからの「いいね」やコメントによる得点(「いいね」1点、コメント2点)を競うもので、上位3店舗にコメントなどをしたフォロワーの中から抽選で、その店舗限定で利用できる商品引換券(2,000円相当)を合計20名様にプレゼントします。

 当インスタグラムのフォロワーになって、気になる「イチオシ」商品やおすすめの「イチオシ」商品を見つけて、「いいね」やコメントをお願いします。「いいね」に加えコメントをすると「いいね」のみより当選確率がアップするので、お店や商品に対する思い入れなどをコメントしてください。

 皆さんのご参加をお待ちしています。

【公式】いい店ひろしまインスタグラム(@iimise_hiroshima_official)

突然の事業承継(相続)に係る税務について

2025/01/15

創業支援担当・児玉主査

 おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・児玉です。

 テレビドラマでは、経営が少し厳しくなってきた会社の社長が突然亡くなり、業界や経営の経験が全くない社長の娘がその後を継ぐという設定があります。そして古参社員の反発を受けながら、取引先や銀行からの信用も無い中で、経営者として成長し会社を改革していくという展開ですが、ここではこの事業承継に関する相続税について考えてみます。

 話の設定として、当該会社は株式会社(非上場、株式は社長の一族で全て保有)、相続人は社長の配偶者、後継者(社長の長女)、長男の3人で、財産を相続したのはこの3人のみとします。相続財産については、社長の自宅とその敷地(配偶者、後継者が同居)及び当該会社の非上場株式があるとします。なお、社長からこの3人に対して、相続開始の日前7年以内の贈与や相続時精算課税に係る贈与はなかったものとします。(贈与と相続税の関係については、以前のブログで少し触れていますのでご参照ください。)

 社長と会社は別人格なので、社長個人の資産・負債と、会社のそれとは区分されます。社長が所有していた自宅の土地・建物等は相続財産となりますが、会社所有の土地・建物・機械等については相続財産には含まれません。(その会社の株式が相続財産となります。)
 自宅に関するローンなど社長の個人的な借入金は負の相続財産として引き継がれ、その額は相続財産の額から控除されます。会社の借入金は(相続の対象ではないので)相続財産の額から控除されません。仮に会社の借入金について社長が連帯保証人だったとしても、原則として相続財産の額から控除することはできません。(ただし連帯保証人としての義務は引き継ぐことになります。)また、自宅の建物・敷地に、会社の借入金に係る抵当権が設定されていても、その相続税評価額は下がりません。
 社長から会社への貸付金(会社にとっては役員借入金)がある場合には、その貸付金は相続財産になります。

 非上場株式については、「非上場株式等についての相続税の納税猶予・免除」の優遇措置(以前のブログでは事業用資産で説明していますが、非上場株式でも同じような取り扱いになります)があります。これを適用する場合には、期限に間に合うように諸手続きを直ちに進める必要があります。

 会社の規模にもよりますが(注1)、株式の評価額を下げる方法として、社長に係る死亡退職金の給付があります。死亡退職金については相続財産の合計額に加算されますが、相続人に給付された場合、合計で1,500万円(500万円×3人(注2))まで控除できます。会社側からみると支払う退職金額だけ純資産が減少するので、非上場株式の評価額が下がります。(損金算入により法人税額も減少します。)
 つまり、1,500万円の退職金を支給した場合には、退職金の受領による加算は1,500万円の控除により相殺され、一方で非上場株式の評価額は下がるため相続財産の合計額が減少し、相続税額の総額が減少します。退職金の額が控除額を超える場合、例えば2,000万円とすると、控除限度額超過分の500万円が相続財産の合計額に加算されますが、非上場株式の評価額は1,500万円の場合と比べて500万円ほど下がるとは限りません。(法人税については、損金算入により納付税額は減少します。)なお、死亡退職金の支給は相続税の納税資金の確保といった効果もあります。
注1:大会社など純資産価額方式で評価する部分が無い場合には、評価額は変わりません。
注2:法定相続人の数を掛けます。ここでは、配偶者、長女、長男の3人。

 退職金については、社長の報酬額、在任年数、功績等からみて妥当な額であることが必要です。また、退職金の支給については適正な手続を踏み、証拠書類を残しておく必要があります。これについては税理士や税務署に相談・確認した方が安心です。また、ドラマの設定のように経営状況が不安定である場合には、退職金等の支給について銀行にも説明しておく必要があるかもしれません。

 工場などの敷地が社長個人の所有である場合、その敷地は相続財産の額に加算されますが、会社に有償(相当の対価)で貸し付けていた場合(注3)には、小規模宅地等の特例が適用できます(注4)。自宅の敷地も、配偶者や同居していた子が相続する場合、小規模宅地等の特例は適用でき(注4)、相続税額の全体額を減少させることができます。
注3:貸し付けていた場合の評価額(敷地や会社の資産)の計算については、ここでは触れません。
注4:いずれの場合も必要な要件を満たしているものとします。

 以上、ドラマの家族にとっては大きなお世話ですが妄想を膨らませてみました。上記以外に生命保険金、弔慰金、葬儀費用なども相続税額の計算に関係しますが、ここでは省略しています。また、細かな要件等についても説明を省略しています。

 事業承継については、早めに準備に取り掛かることが、経営面からも税務面からも有利です。当センターでは税理士や中小企業診断士等の経営の専門家が皆様の相談に応じます。ぜひご利用ください。

広島市中小企業支援センターHP(窓口相談)

広島市中小企業支援センターHP(経営支援アドバイザー派遣)

広島市中小企業支援センターHP(トップページ)

※上記の内容は、令和7年1月1日現在の法令等に基づき記載しています。

令和7年(2025年)年頭にあたってのご挨拶

2025/01/08

中小企業支援センター・中平福所長

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」所長の中平です。

 昨年の中小企業を取り巻く経済環境を振り返りますと、人手不足は深刻化しており、宿泊業や飲食サービス業をはじめ、運送業や建設業などでも働き方改革に伴う時間外労働の上限規制の本格化により大きな影響が及んでいます。さらに、円安や原材料費の高騰などが経営を圧迫しており、多くの中小企業者の皆様が厳しい状況に直面されています。

 一方で、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除を契機として、宿泊業や飲食サービス業を中心に経済活動が活発化する兆しが見られました。また、生成AI技術の急速な発展により、動画生成AIやAI検索エンジンなどAIを活用したサービスが次々と登場し、企業のDXを後押しする環境が整いつつあります。

 また、本市では明るい話題もありました。サッカー専用スタジアム「エディオン ピースウイング広島」の開業をはじめ、隣接する中央公園広場エリアには「ひろしまスタジアムパーク」や商業施設「Hiropa(ヒロパ)」がオープンし、都心部の賑わいを高めています。今春には広島新駅ビル「minamoa(ミナモア)」が開業予定であり、ペデストリアンデッキにより周辺商業施設等との回遊性向上が見込まれます。夏頃には路面電車の広島駅2階広場乗り入れも予定されており、地域経済へのさらなる波及効果が期待されます。

 当センターにおいては、昨年、新たな経営支援メニューとして「事業規模拡大支援アドバイザー派遣」や、女性向けの創業相談「小さなビジネスのはじめかた」を開始いたしました。
 本年も、中小企業者の皆様が直面する様々な経営課題の解決に向けて、窓口相談や専門家派遣、創業支援などの支援を通じて、皆さまのお力になれるよう職員一同全力で取り組んでまいります。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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