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支援センター職員によるブログ

「安定ある成長」を続けるために(「現場から見上げる企業戦略論」から)

2017/11/20

橋口コーディネータ

 おはようございます。 がんばる中小企業を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・橋口です。

 今回ご紹介する「現場から見上げる企業戦略論」藤本隆宏教授 角川新書は、現役の「実証」経営学者の著書です。30数年間で国内外の千数百ヶ所のモノづくりの「現場」を歩き、現場の調査や観察に基づく知見をとても大切にされています。

 6章からなる本書で、難しい戦略理論は止めて、成る程と思った分かりやすい文章を順番に取り上げました。

  • (1)「グローバル能力構築競争」の時代は、すでに始まっている。そのためにやるべきことは、まずもって「良い現場を国内に残す」ということに尽きる。それは地域とともに取り組んでこそ意義がある。
  • (2)世界に先駆けて人口が自然減少していく時代に突入した日本は、世界のどの国よりも、現場の付加価値生産性の向上に注力していかねばならない。
    優良現場が、親会社や本社から「存続すべき生産現場」として選ばれる力が「裏の競争力(生産性、品質、リードタイム、フレキシビリティ)」である(現場で生産された「もの」が製品市場で選ばれる力が「表の競争力」※①)。技術とともに裏の競争力を支えるものづくりの組織能力は、能力構築や人材育成を怠ればたちまち劣後する。
  • (3)悲観論に惑わされるな、潮目は変わっている。中国経済は2005年ごろに農村部からの未熟練労働力の無制限供給が限界に達したと思われる※②。五分の一の賃金差ならば物的生産性を五倍に高めることで労働コスト競争力は互角になる。その目標が十分達成可能なものであることは、苦闘の二十年の間にひたすら能力構築を続けてきた日本の多くの優良現場が証明している。
  • (4)産業版の「三方よし」(顧客満足、利益確保、雇用安定)は、日本の優良な現場や現場指向企業が持つ隠れたアドバンテージである。しかし、固有技術力に自信のある中小企業もこれらに安住せず、顧客と結びつく有効需要の創出のための能力構築が必要である。
  • (5) ・2010年代は「グローバル・デジタル化」が本格化する時代である。インターネットを含む「上空」の電子情報システム(ICT)と「地上」の電子制御システム(FA)との融合により、世界を覆う情報通信ネットワークと現場のモノが一体となって進化を遂げる局面を迎えたと言うことができる。
  • ドイツのインダストリ-4.0は、地道な自動化・ネットワーク化推進と並んで、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)による作業者や作業組織の異常対応や技能蓄積の支援あるいは中小企業の能力強化などの地道な取り組みで、ドイツの誇る中小企業が、ICTを制しているグーグルなどの下請けにならないことを目標としている。
  • 工場のインテリジェント化は、調整能力に長けた良い現場を持つ日本の企業には得意な領域であり、先を走ることも十分に可能であろう。結局、現場のICT-FA使いこなし能力で競争力が決まる。
  • (6)日本が安定ある成長を目指すためには、供給側の土台には、必ず「良い現場」やそれを大事にする「現場指向企業」が存在しなければならない。
    「明るい経済」には「明るい現場」が伴う必要がある。明るい現場とは、能力構築も、需要創造も、利益確保も、雇用確保も同時に目指す「良い現場」であって、しかも多くの人たちが、何年かあとにそこで元気にはたらく自分を想像できる、場所のことである。

  • これを見て本書を読んでみようと思われる方が居られれば幸いです。
    コーディネータは引き続きコンサルティング、マッチング等で中小企業様の能力構築のご支援を致します。

  • ①戦略構想力、ビジネスモデル創造力、プラットフォーム主導力、ブランド構築力アーキテクチャー改変力等本社・経営者の能力
  • ②2015年の一人当たりGDPは、中国約8,000ドル、日本約40,000ドル

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