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2020/11/11
おはようございます。がんばる中小企業を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・若本(わかもと)です。
令和2年の2月以降、新型コロナウイルスの影響を受けない事業者はいない状況となりました。食品やDIY業界など「巣ごもり需要」によりプラスの影響を受けた業界がわずかながらあるものの、観光や飲食を筆頭に多くの業界がマイナスの影響を受けました。政府もダメージの大きかった観光や飲食業界への支援として「Go Toキャンペーン」を実施し、客足が回復してきた地域や施設も増えつつあるようです。この環境下で、従前の8割の客数が戻ってくれば、少しは経営者の不安も解消することでしょう。
しかし、中小企業経営はよほどの貯えがない限り、これまでと同じ体制・施設で売上が"従前の8割の状態"が続けば、それほど長くは事業の存続が出来ません。まず経営者が把握すべきことは、自社の「損益分岐点売上」がいくらで、現在の変動比率(粗利率)から計算した「損益分岐点比率」が何%程度か、しっかりと頭に入れておくことです。
画像は架空の飲食店のシミュレーションです。毎月の固定費(家賃や人件費など、変化なく出ていく経費)が417万円のお店で、1日の平均売上が約20万円(店休日や週末を均して)で、月商630万円のお店のケース。(年商7,500万円程度)
詳細の説明は省きますが、変動費(≒仕入原価+アルバイト料)はコロナ前であれば安定して予測が可能、大きく数字が狂うことはなかったでしょう。しかし、外出や外食自粛の中でGo Toの予約やテイクアウトを受け付けたとしても、事前に仕入数量を読み、廃棄ロスや機会損失をコントロールすることは従前よりも困難です。その状態で売上が8割程度戻ったとしても、赤字幅が縮小しただけで赤字が解消した訳ではないことがグラフから読み取れます。売上が5割程度と低迷した数か月間は取り戻せず、さらに赤字が続くということもあり得るのです。店舗数が増えるほど、ダメージは倍増です。
単に、売上数字を追い求めるのではなく、経営者はざっくりとした数字でも、この「損益分岐点売上」を意識して経営して下さい。いくらの売上を確保し、経費をどの程度抑えなければ、事業が何か月程度しか存続しないか、シビアな判断材料を揃え、新型コロナ禍を乗り切って欲しいですね。