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支援センター職員によるブログ

荘川桜

2022/03/16

向井コーディネータ(技術) おはようございます。 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・向井です。

                                                                         

 今年の冬は特に寒かったのと、オミクロン株の蔓延もあり、この春はいつもより桜の開花が待ち遠しい気がします。私の印象に残っている桜のひとつに岐阜県の荘川桜があり、今回それを紹介したいと思います。

 

 左下の写真は、筆者が撮影した荘川桜です(当日雨天、奥はダム)。庄川の御母衣ダムの湖畔にある樹齢約500年のエドヒガン桜で、ソメイヨシノより開花は少し遅く、真っ白い花弁です。この桜に関わる物語に触れてみます。1952年、戦後の電力不足を解消するため、国により電源開発株式会社(現J-POWER)が設立されました。その最初の開発がこの岐阜県にある御母衣水力発電所計画でした。今までにない巨大なダムに沈む地域住民は、先祖伝来の広大な土地や生活が奪われることから熾烈な反対運動を展開しましたが、7年間の交渉の末、電源開発の初代総裁高崎達之助氏の誠意ある説得により合意しました。その反対派の解散会に招かれた高崎氏は、水没する集落を回り、お寺の境内に老桜のあることを知り、水没移住する人々の心のよりどころとしてこの桜を移植することを約束しました。このような大規模な桜の移植は世界にも例がなく、当時無謀と思われましたが、高崎氏の熱意のこもった要請に、桜博士の笹部新太郎氏の協力が得られました。その後、1960年に移植した桜は奇跡的に活着しました。

 

 電源開発も地域住民もお互い苦渋の決断だったと思いますが、住民に寄り添った誠意ある高崎氏の対応に心温まる気がします。人々の世代交代も進みましたが、荘川桜はJ-POWER御母衣発電所の所員や桜を愛する人たちに引き継がれ、春になると元気に花を咲かせています。桜の横の石碑には高崎氏の言葉が刻まれています。「進歩の名のもとに、古き姿が次第に失われてゆく。だが、人の力で救えるものは、何とか残してゆきたい。古きものは古きがゆえに尊いのである。」これらは、今日の環境倫理やCSR(企業の社会的責任)、SDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の活動に繋がっています。

 

 荘川桜ゆかりの桜はあちこちにあります。環境教育等のために荘川桜二世を広げる活動も進められており、広島県竹原市のバンブージョイハイランドで見ることができます(右下の写真)。また、移植を成功させた桜博士の笹部氏の住居跡(神戸市東灘区岡本)が桜守公園となっており、エドヒガン桜をはじめ、いろいろな種類の桜が鑑賞できます。先人の本物の足跡を辿るのも迫力があります。

 

荘川桜.jpg

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