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支援センター職員によるブログ

新製品開発への挑戦

2010/08/25

shimonawa.jpg おはようございます。
 がんばる中小企業を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・下縄です。

 

 2008年にアメリカが持続可能なバイオエネルギー産業の発展を促進するため、連邦政府機関による様々な協力事業を盛り込んだバイオ燃料国家行動計画が発表され、化石燃料からグリーン燃料へのパラダイムシフトが世界的規模で進行しています。地球温暖化防止、CO2削減を目指した低炭素社会の実現に寄与する、植物を由来としたバイオ燃料への移行のための取り組みです。
 しかしながら一方で、穀物の価格高騰という弊害を招いている事実もあります。こうした現状を踏まえ、新たなバイオ燃料の原料として、日本、インドネシア、タイ、ベトナムなどで、ジャトロファ※の栽培が注目されています。

 

※ ジャトロファの正式名称はJatropha Curcasであり、日本の生物学名ではナンヨウアブラギリとして知られています。バイオエネルギーの需要が高まるにつれ、多くの原料について食糧との競合が起こることが懸念されていますが、ジャトロファはその毒性により食用とならず、また、本来食用品の栽培に適さない不毛な土地での生産が可能であるため、食糧との競合を起こさない点で近年注目を浴びています。

 

 ジャトロファの本格栽培に日本の若者たちが取り組んでいます。『荒れ地をみどりの油田に変える』をコンセプトに、インドネシアで5,000ヘクタールの用地を開拓し、ジャトロファ栽培を始めましたが、わずか半年で撤退しました。失敗の原因は、ジャトロファの性質がよくわかっていなかったため、十分な実を収穫できなかったほか、原油価格が下がり、当初期待されていたほどの生産性が得られないジャトロファの採算性は、相対的に下がるばかりと散々な目にあい、ジャトロファの本格栽培を目指した各国企業の多くがこの事業から撤退していきました。

 

 ジャトロファで採算を取るための突破口は、発想の転換にありました。毒があるゆえに選ばれたジャトロファから、毒を抜くというアイデアです。ジャトロファの油を搾った後に出る搾りカスには、豊富なタンパク質が含まれているため、ジャトロファを品種改良して毒を除けば、搾りカスを家畜の飼料として使え、もう一つの収入源となり、ビジネスとして成功するはずと品種改良に全力で取り組みました。

 

 まずは、世界各国から2,000種を超えるジャトロファを取り寄せ、栽培に取り組み、1種ごとにその特性を記録していきます。次に、毒性の強い種と弱い種の交配をはじめ、実が多くなる種との交配等気が遠くなるような数の交配を重ね、その特性を記録していきます。品種改良は遅々として進まず、若者たちに焦りが出始めたころ、検査のために日本に送ったサンプルの一つが、毒もなく、実も多くなる改良種であることが判明しました。

 

 遂に品種改良に成功し、本格栽培を開始しようとした矢先に、現地から悪いニュースが届きました。初年度はあんなに多くの実がなっていたのに、今年はあまり実がつかないというものでした。直ちに、現地に向かい調査した結果、ジャトロファが病気にかかっていることが判明しました。毒を持っているときは病気には強かったジャトロファが、毒がなくなることにより、病原菌への対抗性が失われるという何とも皮肉な結果となりました。

 

 給料を引き下げ、家族にも経済的負担をかけ、ジャトロファの品種改良に情熱をかけてきた彼らですが、支援企業もいつまでも待ってくれるという状況にはなく、残された時間はわずかですが、彼らなら『荒れ地をみどりの油田に変える』をきっと実現してくれると信じていますし、その吉報を心待ちにしている今日この頃です。

 

 創業に関する様々な問題や課題について、ご気軽に創業支援担当・下縄までご連絡ください。

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