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支援センター職員によるブログ

先人の知恵に学ぶGX

2025/10/29

向井コーディネータ(技術) おはようございます。 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・向井です。

 最近、「GX(グリーントランスフォーメーション)」という言葉を目にしたり耳にしたりする機会が増えました。2025年2月には第7次エネルギー基本計画と「2040年GXビジョン」が示され、脱炭素と経済成長を両立させる取り組みが本格的に動き始めています。

 私が2022年に書いたブログ「雪室と風穴」(2022/06/29)では、島根県出雲市の八雲風穴を紹介しました。風穴は山の岩の隙間から冷気が流れ出す天然の"冷蔵庫"です。養蚕業では、蚕の卵を風穴に保管することで、春だけでなく秋まで、連続的に生産することが可能でした。これは自然の冷熱を巧みに活かした"先人のGX"といえます。また、上高地の風穴は富岡製糸所で生糸の安定生産に応用され、明治初期の輸出産業の発展に寄与しました。さらに、道路整備や山岳リゾート開発など、地域経済の変革にも波及しました(2025年10月11日NHK「ブラタモリ」参照)。天然の冷熱資源は、社会全体に影響を与える力を持っていたことが分かります。

 その後、電源開発や、冷蔵庫や冷凍室など人工的な冷却技術が普及しました。効率や規模的には優れていましたが、天然のエネルギー資源である風穴の価値は忘れ去られました。しかし今、我々はCO₂排出削減という地球規模の課題に直面し、再び自然と調和したエネルギーのあり方を考える時代に戻っています。

 私はGXについて、次のように考えています。
(1)化石燃料の燃焼をできる限り避けること
(2)再生可能エネルギーに加え、地中熱・下水熱・風穴など、身近な天然の熱源を活用すること
 ・熱のまま直接利用する
 ・ヒートポンプで熱を汲み出して利用する(若干の外部エネルギーを使用)

 地中熱は地下10mで年間を通じて約15℃と安定しています。また、下水道の水温は、夏は外気より5〜10℃低く、冬は外気より5〜15℃高いため、直接熱交換したりヒートパイプで空調に利用したりすることが可能となります。
 さらに、広島県にも風穴の可能性を秘めた地形があります。呉市の野呂山や三原市の久井の「岩海」では、蛇紋岩や花崗岩が露出し、岩の隙間に空気が流れる構造をもっています。こうした場所を調査し、霧の発生や冷気・暖気の動きを測定することで、新たな"地熱・風穴資源"の発掘につながるかもしれません。実用化できれば、夏の冷房や冬の暖房、食品加工や地域ブランドづくりなどへの応用も期待できます。

 地中に眠る自然エネルギーを見直し、それを地域の新たな価値創造につなげること。こうした視点も、我々が考えるGXの取り組みの参考になると思います。

八雲風穴.jpg


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