公益財団法人広島市産業振興センター広島市中小企業支援センター

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支援センター職員によるブログ

創業の成否を分ける「3つの輪」

2026/03/25

創業支援担当 平野主事

 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・平野です。

 日々、創業支援の現場で多くの方にお会いする中で、みなさんの熱い思いに触れる機会をいただいています。お話を伺っていると、創業の動機は大きく2つに分けられると感じます。
 ひとつは、社会の問題や業界の課題を解決したいという「自分以外の人や事柄をより良くしたい」という動機。もうひとつは、自分の好きなことや理想を形にしたいという「自分の思いを実現したい」という動機です。
 軸がどこにあるかという点に違いはありますが、どちらも事業を継続していくための強力なエネルギーになる素敵な動機であることに変わりはありません。だからこそ、その大切な動機を創業後の原動力にするために、創業前にしっかりと自分自身のプランに向き合っておく必要があります。
 今回は、経営の知識がなくてもすぐに実践できる「事業を成功に近づける3つの要素」についてお話しします。

 経営において、事業内容(商品やサービス)を考える際、「できること」「やりたいこと」「求められていること」という3つの要素をすべて満たしたものを事業にすると、より成功しやすいという考え方があります。
 3つの要素の説明は以下の通りです。

 ■できること ・・・ 過去の仕事などの経験から得た能力(スキル)・資質・ノウハウを活用して提供することができる商品・サービスかどうか。
 ■やりたいこと ・・・ 自分が仕事として取り組んでいきたい内容かどうか。また、事業を通して実現したいこと・夢。
 ■求められていること ・・・ 人々がその商品・サービスが提供されることを望んでいるかどうか。(商品・サービスのニーズがあるかどうか。)

ビジネス成功のための3つの要素.png まずは、ご自身が考えている創業計画がこれらの要素を満たす内容になっているかどうか、実際に当てはめて検討してみましょう。
 検討する際に注意していただきたいポイントを、要素ごとに詳しく解説します。

■「できること」検討の際の注意点
 ここで考えていただきたいのは、「顧客目線で、お金を払って買うだけの価値があるかどうか」という点です。例えば、「最近はレザーを使った小物が売れているらしいから、レザークラフトの教室に通いながらオーダーメイド販売をしてみよう」と考えている方がいたとします。
 この方はこれから技術を学ぶ段階なので、お客さまが求めている品質に達しているかどうかは少々不安があります。もしお客さまの求める水準を満たせない場合は選ばれず、売れないという事態に陥ってしまう可能性が高いです。
 いきなり本格的に材料を仕入れて販売するのではなく、まずは「テストマーケティング(お試し販売)」をしてみて、実際にお金を払ってもらえるクオリティかどうかを確認してみるのが良いでしょう。

■「やりたいこと」検討の際の注意点
 「好きなこと(趣味)を仕事にして稼いでいきたい」という動機で創業される方も多くいらっしゃいます。ここで注意していただきたいのは、「趣味でするのと仕事でするのとでは全然違う」ということです。
 例えば、趣味で友人にネイルを施して喜ばれている方が「これで生活していこう」と創業したとします。趣味であれば自分の好きなデザインをのびのびと楽しめますが、仕事になれば「お客さまが求めるもの」が最優先です。人それぞれ違う好みに応え続けなければならず、ときには厳しいクレームをもらってしまうこともあります。
 また、お金を払ってもらっているということからくる責任やプレッシャーもある中、常に「自分の中で一番の出来」を保ったまま毎日何人ものお客様の対応をしていかなければなりません。
 そのため「やりたいこと」を検討する際は、自分の好きなことが嫌いになるかもしれないという可能性も考えておくことや、何があっても絶対に嫌いにならないほどの固い意志を持てるかどうか、といった視点で見つめ直してみてください。

■「求められていること」検討の際の注意点
 ご自身が素晴らしいと思うビジネスプランがあっても、それを求めている人がいなければお金を払ってもらうことはできません。いわゆる「ニーズ」があるかどうかです。
 これを検討する際に重要なのは、家族や友人などの身近な人たちだけが求めている状態になっていないかをよく確認することです。
 経営の専門家の方たちは「ビジネスを始める前段階では家族や友人は、それいいね、と肯定してくれるが、実際に購入したり利用したりしてくれるかというと、してくれても最初の一回だけであとはない。」というようによくおっしゃっています。もちろん、周りの方の意見を参考にすること自体は間違いではありませんが、それをそのまま唯一の根拠にするのではなく、インターネットで統計データを調べたり、アンケートをとったりして、「見知らぬ多くの方が求めていることか」を客観的に検証しましょう。先ほどお話しした「テストマーケティング」も有効な検証方法です。
 経営を始めたら、成功しても失敗してもすべては自己責任となります。失敗したときに「周りのみんなが言っていたから」と嘆いても時間は戻せません。だからこそ、創業前に慎重に検討しましょう。
 

■ 一人で悩まず、プロと一緒に形にしませんか?
 最初にお伝えした通り、3つの要素をすべて満たした事業は成功しやすいですが、実際に形にするには各要素を経営的な視点で深く検討する必要があります。
 ご自身で考えてみたけれど「これで合っているのかわからない」「経営知識がないから不安だ」と思われた際には、ぜひ当センターをご利用ください。当センターでは、中小企業診断士や税理士といった経営に関する専門家による無料の窓口相談など、さまざまな支援メニューをご用意しております。
 創業は大きな挑戦ですが、一人で悩む必要はありません。皆様が描く素敵なアイデアを確かな事業へと育てるためのお手伝いをさせていただければ嬉しいです。

 

窓口相談のスケジュールを公開しました!

2026/03/18

nagasato2024.jpg おはようございます。 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の経営革新担当・長里です。

 

あっという間に3月となり、私も入職して丸2年となりました。時間が過ぎるのは本当に早いものですね。

先週、通勤途中で梅の花が満開に咲いているのを見かけ、春が少しずつ近づいていることを感じました。春は、新しいことを始めたり、事業の方向性を見直したりする方も多い時期ではないでしょうか。

さて、この度、広島市中小企業支援センターの令和8年4月~9月分窓口相談のスケジュールを公開しました。当センターでは、広島市内の中小企業や個人事業主の方を対象に、無料の経営相談を行っています。

 

例えば、次のようなご相談があります。

・売上を伸ばすための取り組みについて相談したい

・補助金や支援制度について知りたい

・創業や事業計画についてアドバイスがほしい

・SNSやホームページの活用について相談したい

・チラシのデザインを見てもらいたい

 

窓口相談というと、「しっかり準備して行かないといけないのでは...」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、

「少し話を聞いてほしい」

「考えを整理したい」

という段階でも大歓迎です。

 

実際に相談に来られた方からは、

「話してみたら頭の整理ができた」

「次にやることが見えてきた」

といった声も多くいただいております。

私自身も、この2年間で多くの事業者の方のお話を聞かせていただき、日々刺激をいただいております。

 

令和8年4月~9月分の窓口相談のスケジュールはこちらのページで公開していますので、
ご都合のよい日程をチェックしていただければと思います。

 

ぜひお気軽に窓口相談をご利用ください。

氷と雪と霜

2026/03/11

向井コーディネータ(技術) おはようございます。 がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」のコーディネータ・向井です。

 

 今年の冬を象徴する言葉は「雪と氷と霜」ではないでしょうか。イタリアで開催されたミラノ・コルティナオリンピックでは氷上競技が多くの感動を生みました。氷は人に夢を与える舞台となり、選手たちの卓越した技が光りました。一方国内では、大雪による家屋被害や除雪中の事故も報じられました。自然は美しさと厳しさを併せ持ち、私たちの暮らしに大きな影響を与えています。

 産業の現場では、雪や氷、霜はしばしば厄介な存在です。熱交換器に霜が付着すれば効率は低下し、航空機の翼に着氷すれば揚力が損なわれます。寒冷海域では船体着氷により復原性を失う事例もあり、日露戦争期にはこれを契機に寒冷海域での氷の研究が進められました。氷雪霜は環境次第で大きなリスクとなります。

 その背景には、水の特異な性質があります。凍結・融解時に大きな潜熱をやりとりし、凍ると体積が増え、さらに圧力で融けやすくなる性質です。アイススケートが滑るのは刃の下で圧力や摩擦により生じる薄い水膜によるものです。一方で、この大きな潜熱は氷蓄熱や雪室のように、温度を一定に保ちながら熱を蓄える技術を可能にします。リスクの源は、同時に高度なエネルギー制御機能でもあります。

 氷雪霜を単なる障害として排除するのではなく、その特性を理解し制御して価値へ転換する発想が重要です。データセンターの氷蓄熱冷却による電力ピーク削減、月や火星での氷資源利用、低温DACにおける霜分離、医療分野での氷晶制御、防氷・着霜制御材料の開発など応用は広がっています(表1参照)。氷雪霜を資源として捉え直すことが、新たな技術とビジネスの可能性を拓きます。雪と氷と霜を活かす取り組みにご関心のある方はぜひご一報ください。

表1 氷と雪と霜を利用したホットな開発テーマ(案)

No. テーマ(限定明記) 主な分野 社会インパクト 技術コア インパクトの質
データセンター × 氷蓄熱ハイブリッド冷却 AI・ICT・電力 電力ピーク削減・脱炭素・電力安定化 氷PCM制御、再エネ連動、負荷平準化 市場規模最大級
月・火星の氷資源利用(ISRU) 宇宙開発 宇宙燃料現地生産・持続探査 真空昇華抽出、低重力熱設計 国家戦略級
低温DAC(冷却・昇華分離)× 霜制御 カーボン
ネガティブ
CO₂除去効率向上・エネルギー削減 着霜制御、低温凝縮、除霜最適化 脱炭素基盤技術
医療 × 氷晶制御
(高度凍結保存)
移植・再生医療 臓器保存延長・医療革新 氷核制御、
ビトリフィケーション
医療パラダイム転換
防氷・着霜制御材料(航空・風力) 航空・再エネ 安全性向上・
発電効率維持
超撥水表面、
氷付着力低減
安全+再エネ効果
  • ・ISRU:現地(最終的には火星)での資源利用(In-Situ Resource Utilization)
  • ・DAC:CO2を直接回収する技術(Direct Air Capture)
  • ・PCM:潜熱蓄熱材(Phase Change Material)
  • ・ビトリフィケーション:氷結晶を形成させずに生物材料をガラス状に凍結保存する技術

 


「創業しない」という決断も、立派な創業準備の「成果」です

2026/03/04

創業支援担当の河石です

おはようございます。がんばる中小企業と創業者を全力で支援する「広島市中小企業支援センター」の創業支援担当・河石です。

 

当センターでは日々、新しいビジネスに挑戦しようとする皆さまの相談を承っています。先日、当センター主催の創業セミナーでの講師の発言が深く心に残りました。

 

「このセミナーで自身の事業計画を突き詰めた結果、『創業しない』という決断を下すことも、一つの立派な成果です」

 

私はこの講師の方の意見に強く共感しました。決して創業を諦めさせることを狙っているわけではありません。

 

現代社会において、会社員という立場は非常に手厚く守られています。 折しも労働基準法の改正検討では、勤務時間外の連絡を拒否できる「つながらない権利」が注目されています。仕事とプライベートを明確に分ける。これは、心身の健康を守るための大切な権利です。

 

一方、ひとたび経営者の道を歩み始めれば、その「守り」の多くはなくなります。もちろん、経営者も意識的に休みを作ることは可能です。しかし、特に創業期においては、お客様からの問い合わせに即座に応えられないことが、そのまま「信用の欠如」に繋がってしまう厳しさがあります。

・24時間、事業のことが頭から離れない

・トラブルがあれば、休日返上で対応する

・プライベートとの境界線が曖昧になる

これが、自由と引き換えに背負う「経営のリアル」です。私の父はいわゆる「街の電気屋さん」でした。今どきの創業セミナーではなかなか創業するには難しい業種とされます(伝統的な小売業と説明されることもあります)。実家の食卓では、夕飯の最中であってもお客様からの問い合わせ電話が鳴ることがありました。経営者になるということは、家族もその輪の中に巻き込むということです。私自身も、子供ながらに電話応対をしたり、店番をしたりすることがありました。「経営」は、個人の仕事である以上に、家族のライフスタイルそのものを変えてしまうものなのです。

 

「勢いで創業して、後から理想と現実のギャップに苦しむ」そんな不幸を防ぐために、私たち支援機関が存在します。当センターを活用して、何度もシミュレーションを重ねてください。

・収支計画に無理はないか?

・自分の理想とするライフスタイルと両立できるか?

・そのリスクを負ってでも成し遂げたい情熱はあるか?

 

これらを徹底的に考え抜いた末に、「今はまだその時ではない」「このビジネスモデルでは難しい」と気づくことができたなら。それは、あなたの貴重な資産や人生を守り抜いたという、最高に価値のある「成果」なのです。

 

私たちは、無理に創業を勧めることはありません。あなたが納得のいく答えを出せるよう、様々な支援メニューをご用意しています。「まだ形になっていないけれど、誰かに話を聞いてほしい」そんな段階でも構いません。まずは当センターの窓口を存分に活用して、あなたの「創業準備」を充実させてください。

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